エトワールへの昇格のアナウンスも終わり,公演が終了しました。
辺りが明るくなり,やっと我に返りました。
スタッフに導かれて大慌てで席についてからここまで,あっという間に流されてきた気がします。
あらためて劇場内を見回します。
天井のシャガールの絵が目に入ってきます。
劇場内の色調とは,ちょっと異なる気がします。
けど,この絵をここに配置できるのが,フランスの人の素晴らしさだと思います。
明るくなるのを待っていたように,スタッフが話し掛けてきました。
一連のセレモニーに入り込めないでいたのに気が付いてくれたのでしょう。
アンナ・ルナヴァンがエトワールに昇格したこと。
そのセレモニーが,ブリジット・ルフェーブルからアナウンスされたこと。
そして,長年芸術監督を務めてきた彼女が,今シーズンでそのキャリアに終止符を打つこと。
それらのことを,一生懸命に説明してくれました。
そのことが,とても嬉しかった。
エトワール。以前そのままのタイトルの映画を観ていましたので,知識としては得ていました。
しかし,観衆のあの盛り上がる様。ここまで,とは思っていませんでした。
バレエが,一般の人達の中に根付いている,浸透しているんでしょうね。
芸術に対する姿勢の違いなんでしょうか。
普通に,普通の人達がバレエ,オペラを楽しんでいる。
自分も,そんな生活を地元でも送ることにしよう。
それにしても,入場の際は見る余裕がなかったけど。
此れだけの建築美を誇る劇場は,初めてです。
素直に感心してしまいます。
公演を楽しんだ後に,もう一つ楽しみが待っているようなものです。
この劇場の舞台に立てる人は,どんな気持ちを抱くのだろうか。
1875年に完成したオペラ座。
以後140年間,どれだけの人達が公演の感激を胸にここを通ったのでしょうか。
ずっとここに留まりたいのですが,スタッフが辺りの人達に退場を促しています。
とても名残惜しいのではありますが,帰宅の途に就くことにします。
と言っても,向かい側に道路1本渡るだけですけどね。